「だ いたいなんでお前はいつもそうなんだ!」

「むきゅ…」

「ジジイに関わ るとロクなことがことがないから近づくなってあれほど言ってあっただろ!」

「…むう、だって…」

こ んなにのだめに怒鳴ったのは久しぶりだ。

ことの発端はジジイ。
俺が客演でスイスに行ってい る間にのだめを誘い、ウィーンのパーティーへ連れてったからだ。

おまけにそこにいた松田さんと一緒に飲んでいた らしく、酔い潰れ松田さんに抱きあげられていたらしい。

のだめもジジイも何も言わなかったが、たまたまそのパー ティーにジャンとゆうこがいたらしく、今日街でばったり会った時に初めて知った。

最初、2人はのだめだとは分か らなかったみたいで(かなりドレスアップされてらしい)、のだめだったら俺がいるだろうと、他人のそら似ぐらいで思ってた。

そ れが、のだめのあの独特な奇声などでのだめだとわかったみたいだ。

それに気づいた時には、のだめと松田さんは いっしょにどこかに消えてしまい、しばらくしたら
眠っているのだめを抱えた松田さんが現れたという。

『彼 女かわいいからね〜結構声かけられてたよ』

『それにあの松田って人もなかなかのいい男だったし…もちろんジャン が一番だけどね』

そんなことを聞いて黙ってる俺じゃない。すぐのだめのアパルトマンへ行って問いただすと、のだ めはあっさり認めた。

だが、酔って寝てしまった後のことは知らず、起きてみたら自分の部屋で寝ていたという。

ジ ジイもジジイだが、のだめものだめだ。
あれほど関わるなっと言ってたのに…

「…だって、ゴ ハンに連れてってあげるって言われてまさかウィーンまで行くなんて思ってもみなかったし…」

ピアノに向かって ずっと俯いていて座っていたのだめが口を尖らせて反抗した。

「相手はあのジジイだぞ。どんな行動に出るか分から ん相手だぞ。お前も少しは…」

「うぎっ。だって、真一くんのお師匠さんなんですよ。そんな邪険にしたら真一君に も悪いかと思って」

「俺のことはいいんだよ!だいたいお前はいつ・・・」

「… いつもってなんですか…」

のだめの肩が小刻みに揺れ、ゆっくりと立ち上がった。


「な んなん?さっきからネチネチと。いいたいことあるならはっきり言えばよかと!」

のだめがキレた。

こ うなると俺はもう手をつけられない。

「千秋先輩の言うことはいつも一緒なんですよ。もう少ししっかりしろとか、 無防備とか無自覚とか。
のだめだってもう立派な大人の女性です。ベーベちゃんじゃありません!自分のことは自分でやります」

「で も、実際はこうなっただろ!つめが甘いんだよ、つめが!」

「千秋先輩には分からないんですよ。のだめの気持ち が…」

「はあ?」

「…出てって下さい…」

「へ?」

「出 てけって言ってるんです!のだめの気持ちが分かるまでここに来ないでください」

のだめはソファーにかかっていた 上着に手をかけ投げた。
そして右手を掴んで思いっきり引っ張り部屋の外へ。

―バタン、ガ チャンー

いつもは掛けないチェーンの音も聞き、本格的に閉められた。

… わけわかんね〜…