今日は学校が休 みで。
ボクはのだめの部屋に遊びに来た。
のだめに似合う可愛い花束を買って、ちゃんとお肉も買って。

・・・・ なのに。
のだめはフランクと『プリごろ太』を見始めた。

そして、見終わった後のだめはこう 言った。
「しゅてき〜しゅてき〜。」


『ボクにも出来るもん』


「な にがそんなに素敵なのさ」
「リュカはみてませんデシタか?」
TVの画面では、リオナって女の子が、ゴロタに抱っ こされている。
話しは、カズオが怪我をしたリオナを、お姫様抱っこしたのを見たゴロタが、
プリリンの魔法で力と 強い筋肉を得て、カズオに負けないお姫様抱っこをするという、話。

「な〜に〜言ってんのよぉ〜」
ター ニャは呆れ顔。

「いつもチアキにしてもらってるでしょ〜。お姫様だっこ。」
「いつもっ て・・・・・?」
「な、なに言ってんデスか?」

否定するけど、顔が赤いよ。のだめ。

「ボ クだって!出来るよ。・・・・・・・・のだめ、こっち来て!!」
少し強引にのだめを立たせ、肩を右手で引き寄せる。

「え いっ!」

抱き上げたのだめは、ちょっと(ずいぶん)重い。
だけど、だけど、アイツが出来る ならボクだって・・・・・・・!!

そう思っていたのに、抱き上げた時から足元がおぼつかない。

「む きゃ〜〜〜リュ、リュカ〜〜下ろしてくださいデス〜」

のだめがそう言って暴れた途端、ボクはバランスを失っ て・・・・・
危ないって思ったときだった。


「・・・・・・なにやって んだ。お前ら。」

あんなに重かったのだめがふわりと軽くなる。
ボクの背後から両脇に差し出 された黒い腕。
その腕がのだめをボクから奪っていく。

「あ!チアキ。お、おかえり〜」
ター ニャの視線を追って、ふりかえるとそこには

チアキ・・・・・

「大丈夫 だったのに。ボクもう下ろそうと思ったところだったんだから!」
プーっと膨らむボクの頬っぺた。悔しい。

「リュ カ〜ありがとデシタ。すごく嬉しかったデスよ〜」
ってのだめは言うけど、なんだか慰められてるようで。

そ れに!のだめはまだチアキに『お姫様抱っこ』されたままで。

「・・・・・ボク、帰るよ。のだめ!また学校で ねっ!」

思わず飛び出したのだめの部屋。
のだめを抱っこしてたチアキの目が、ボクに言って た。

『お前には無理だろ?』って。

でも、でも、
も う少しボクの身長も伸びて、今よりもっと逞しくなったら。
チアキなんかに負けない『お姫様だっこ』してあげるんだから!

だ から、きっと、いつかは・・・・・

「ボクにも出来るもん・・・・・」

end