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星空に君を想 う人ありけり








黒 木くん、今夜お暇ならのだめの部屋に遊びに来ませんか?




… なんて、無防備な誘い。
じき24になる子の台詞とは思えない、無邪気で恐怖を知らない言葉。


ねぇ、 君は知らないよね。
僕が、君の事好きだったってこと。








「ど うしても、だめデスか?」
「うん、今日は駄目なんだ。アパルトマンの管理人さんに夕食に誘われてて」
「そデス かぁ…残念デス」


本当に残念そうに言うから、僕の良心が軽く痛むんだ。
誘 いを受ければ後で誰に何を言われるかが判っているから、行かないだけ。
本当は…僕だって、まだ恵ちゃんと一緒に居たいんだ。
ト ボトボ歩く隣の影に、小さく苦笑を浮かべて、告げた。


「また誘ってよ」


そ の後の嬉しそうな表情が、胸をきゅっと切なくさせる。



もし、判って やってるなら、恵ちゃんは相当小悪魔。
だけど、彼女はそういうタイプではない。
鈍感で、無邪気。


自 分が何をしているのかも…彼氏が居る身で男友達を部屋に呼ぶという行為が
世間一般にどう思われているかも知らず、
僕 の昔の思いも知らず、
現在の気持ちも知らず。




燻っ ていた僕の気持ちは、現在まだ消火不良気味。
煙は天高く伸び、今正に空に輝く星に手が届かんばかりで。


天 には、君がいるから。
だからまだ僕は、君の事を求めているんだろうな。





「じゃ あ、約束しマショ!げんまんデス」
「え?」
「指きりげんまん!」


白 い歯を見せて、小指を差し出して笑うものだから、
僕は思わずと自分の小指を差し出してしまって。
細い指が絡まる と、自然に体温が上がった。


こんなにも無邪気な君。
こんなにも無垢な 君。



僕が、隣に居られたら良かったのに、なんて。


「約 束デスよ。破ったら針千本デス」
「心しておきます」


僕はきちんと笑え ているだろうか?



罪悪感で、胸が痛いよ。





君 の隣に居る人が、あの人でなければ…僕は奪っていたかもしれない。

僕はあの人には叶わない。
音 楽も、人間性も、人生だって。





「じゃ あ、また明日!」
「うん。気をつけてね」
「ハイ!」


鼻 を赤くして、白い息を吐いて、めいっぱい大きく手を振る、君。




「恵 ちゃん!!」


好きだよ。


「え?」


好 きだよ、



好きなんだ。



「千 秋くんに、宜しくって言っておいて」


「はいっ!」



そ の人の名前が出ると、嬉しそうに微笑む君が、とっても素敵で……


四文字の言葉を、僕は飲み 込んだ。











空 を見上げれば、僕の燻った気持ちが煙となって天に伸びていて、

その向こうには、君のようにきらきら輝く星達が瞬 いていた。







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ハ ギワラさんリクで、「何でもいいから黒木くんが出てくる話」でした。
黒木くんといえば黒のだだ!という事で、私の中で黒木くんは ずーっと
一途にのだめの事を思いつつ…っていう人なので、それを前面に出してみました。
思えば… Precious初黒木!?あんま覚えないですけど…。
ブログ時代にはいっこ黒→のだ書いたんですけど、移転と同時に削除してしまっ たんですよね。
ハギワラさん、いかがでしたでしょうか!?
また絡んでやって下さいねーv