学校から帰ってくるとグランドピアノが音を奏でていた。 - softly - 「あれ・・・」 僕は引き寄せられるように部屋を覗き込んだ。 ああこの音は、この音色は・・・。 肩先までに切りそろえられた髪を揺らしながピアノに向かう後姿は・・・。 「ノダメ?」 祖父に教会の合唱団の伴奏を頼まれたという。 今日はその伴奏の打ち合わせということで家を訪ねてきたらしい。 「こんにちは、リュカ」 ふんわりと柔かな笑顔を向けられて僕は少し頬が火照っていくのを感じた。 この人はどうしてこうも可愛らしいのか・・・僕より年上だというのだけれど。 「ピアノ、一緒に弾きますか?」 「ううん、ノダメが弾いて。 僕もっと聞きたい」 そして手近に有った椅子を引っ張り寄せようとするとノダメは笑顔で自分の足をポンポンと叩いた。 一瞬意味が解らなくて首を傾げた僕の手をそっと引き寄せて、彼女の膝の上に僕を座らせた。 まるで赤ちゃんのように抱え込まれて、僕はちょっと緊張する。 僕に対する扱いにちょっと不満を覚えて抗議しようと思って振り向くと、柔かなふくらみに阻まれた。 そのぬくもりに捕らわれてしまうとそんな気持ちあっという間になえて、僕は黙って彼女に従う。 「何にしましょうかねぇ」 顎に指を当てて考える仕草。 彼女のスタイルからはちょっとアンバランスな感じもする大きな手と長い指先はたおやかでありながら力強さを感じさせる。 ああ、その指先からあの音があふれ出すんだ。 「では、のだめリサイタル、始めの曲は・・・」 彼女の声が僕の頭上から響いてくる。 そして僕の両脇から彼女の白い腕が伸びてきて目の前の鍵盤に載せられた。 先程触れた柔かな部分を背中に感じて少し緊張しながら僕は耳を澄ます。 柔かな5月の柔かな風の中舞い降りる天使の羽音のような、彼女だけの音が生まれる瞬間を聞き逃さないように・・・。 ♪♪♪ あははは、どういうわけだかこうなりました。 千秋の「ち」ぐらい匂わせようかと思ったんですが、膝抱っこリュカに撃沈(笑) 純粋にリュカノダですよね、ね。 ノダメにリュカをお膝抱っこさせたかっただけです。 ピアノ弾きにくいかもという突っ込みは抜きにしてくださいませ。 年齢的には許されるのかどうか、まぁリュカがまだ小柄だという妄想で(笑) 膝の上に抱っこされて甘えるリュカがとっても可愛く腹黒くなれば・・・。 曲についてはお好きなものを想像してくださいませ。