そ
の部屋の中に、彼女はいた。
白いふわっとしたワンピースを着た彼女は、まるで何の穢れも知らない少女のようで。
こ
れは嘘じゃない。
本当に。
リュカには、のだめが、本当に羽の生えた天
使のように見えた。
約束3 3話。
そ
こは小さな部屋だった。
きっとターニャのものであろうピアノの椅子に、のだめはちょこんと座っていた。
視線はど
こも見ておらず、ただうつろに宙をさまっているようだけで。
その姿はいつもよりとても小さく見えて、どこにも居場所がないような迷子
の子供のようなその姿を見たリュカは、彼女を強くこの手で抱きしめたい衝動にかられた。
そう手を伸ばしかけて……やめる。
そ
して、ゆっくりと、できるだけ落ち着いた口調で語りかけた。
「……やあ、のだめ……」
の
だめは、その声で初めてリュカに気づいたかのように、ゆっくりと振り返った。
徐々にその目の焦点が合う。
どうや
らやっとリュカの存在に気づいたようだ。
「リュカ……」
リュカは、何
事もないように微笑んで言った。
いつものように。
陽気な口調で。
千
秋が死んでからは、家に引きこもりがちになっていたのだめを外に引っ張り出していた、あの頃のように。
「……久
しぶりだね、のだめ。元気にしてた?」
「………」
「最近、電話してもメールしても返事がないだろう?。
どうしたのかなあって思って心配してたら、まさかヤスの家に来てるなんて思わなかったよ」
「………」
「わかっ
た!!。
きっと、久しぶりにパリの空気を味わいたくなったんだろう。
なら、遠慮しないで僕に言ってくれれば
よかったのに。
ブーローニュの森の遊園地ジャルダンダクリマタシオンとかさ、一度、琴音を連れて行きたかったんだ。
まあ、子供用の遊園地だしあんまり遊ぶものはないけれど、ミニ動物園とかミニ植物園とかあって、琴音、きっと喜ぶと思うんだ。
よ
かったら明日でも……」
「黒木くんが……」
のだめがリュカの声を遮った。
「……
え?」
「……黒木くんが、リュカに連絡したんデスか……?」
のだめは、ぽつりと声を出す。
そ
の低く暗い声にリュカは、不吉な予感を感じながらも……それには気づかないフリをした。
「あ、ああ……だから僕
はこうやって急いで車を走らせてやってきて、愛しい愛しいのだめと琴音に会いに……」
「あんなに……リュカには黙っていてくだサイと
お願いしてたのに……」
「え……?」
それはどういう意味……?とリュカが問いかけようとし
た瞬間。
「リュカ」
のだめが顔をあげて、真正面から真っ直ぐにリュカ
の目を見据えた。
そして。
「もう、お互いに会わないようにしましょう」
奈
落の底の落とされるというのはこんな感じのことを言うのだろうか。
リュカは突然、目の前が真っ暗になるのを感じた。
と
ても頭がぐらぐらする。
天井と床の区別がつかない。
目の前にいる筈の、のだめの顔がすごくぶれて映る。
ゆ
らゆらとゆらめいて、その存在を無くすかのように。
そう、まるでここにいないもののように。
砂漠の中の蜃気楼の
ように。
「……その方が、お互いにとっていいと思うんデス」
「……どうして?」
リュ
カは言った。
思いもかけないくらいに掠れた声が出た。
「なんで……どうして……そんなこと
を言うの?」
「………」
「……もしかして、週刊誌の記事を気にしてるの?。
やだなあ。
あんな記事、僕にとってはいつものことだから、誰も本気にする人なんていないって。
事務所の方だって、別にお咎め無しだったよ。
あのエリーゼだってなーんにも言わなかったしね」
「……リュカ」
「……今までどおりに……仲良くやっていこう
よ」
「………」
「僕とのだめと琴音の三人で……ずっと、……ずっと……」
「………」
の
だめはゆっくりと首を振った。
その瞳はとても哀しい色をたたえていた。
「……でも、……も
う、やめましょう……」
リュカは胸が激しく痛むのを感じていた。
「……
どうして……」
すると、のだめはリュカに向かって、ゆっくりと深く深く頭を下げた。
のだめ
の栗色の髪がさらりとその表情を隠す。
「のだめは、リュカに謝らなければいけまセン」
「……
のだめ?」
「のだめは……リュカの気持ちを利用してました」
思いもよらない言葉に、リュカ
は呆然となる。
のだめの言葉は続く。
「真一くんを亡くしたのだめ達を、必死になって、心配
してくれているリュカの……友情につけこんで」
いや……違う……。
「……
多忙なリュカに、ことあるごとに、あんな片田舎に足を運ばせて。
散らかった部屋の掃除をさせて。
荒れた庭の
手入れをさせて。
豪華な料理を作らせて。
琴音がうわあって拍手するくらいのお土産を抱えて来させて。
……
考えてみたら……今まで、どんなに……リュカに迷惑を……かけてきたんでしょうネ……」
そ
れは違う。
「でも」
とのだ
めは言った。
「リュカが来ると……琴音が喜ぶから」
「………」
「父親
がいなくて寂しい思いをしているあの子が……リュカを見ると、本当にパッと輝く嬉しそうな笑顔を見せるから……」
「………」
「ま
るで、本当の家族のように3人でいつもテーブルを囲んで。
そしていつも3人でたわいもない話ばっかりして、とてもとてもあったかい
気持ちになって……。
……いつも……いつも……楽しくって嬉しくって……」
「………」
「だ
から……」
「………」
「それを言い訳にして……ずっと……ずっと……リュカに甘えていただけなんデス」
「で
も」
のだめは頭を下げたまま、小鳥のような声で呟いた。
「本
当は……のだめは、ただ、自分のために……真一くんの代わりが欲しかっただけなのかもしれまセン……」
時
が止まった。
2人の間を、ただ、長く重苦しい沈黙が降りていた。
その
沈黙を破ったのは、リュカだった。
「……だから……何?」
「え……?」
の
だめが、リュカの思いもよらない言葉に、はっと頭をあげる。
リュカは、落ち着いた表情で、ただ、静かに哀しげな微笑みをたたえてい
た。
「……知っていたよ……僕」
「リュカ……」
「……のだめが、僕を
千秋の代わりとしか見ていないってことを……」
リュカはゆっくりとのだめに顔を近づける。
「そ
れでも……良かったんだ」
「………」
「千秋の代わりでも……それでも……のだめの側にいられたらそれだけ
で……」
「………」
「のだめ……」
心のどこかに
危険信号が鳴っていた。
どんなことがあっても、それだけはけっして言うまいと心に固く誓っ
ていたことがあった。
ずっとずっと心の奥に封じ込めて。
頑丈な鍵をか
けて絶対に外に出さないようにしていた。
それなのに。
リュ
カの心が……。
……その魂が、堪えきれずに叫んでいた。
そ
の叫びは、リュカの重たく閉ざされた口を、開かせる。
「僕
は……君を、愛しているんだよ……のだめ」
目の
前の、のだめの瞳が驚いた様に大きく見開かれ。
次の瞬間。
バシイイッ
ン!!。
大きな音がして、頬に痛みが走る。
のだめがリュカの頬を、勢
いよくその右手で打ったのだ。
リュカは、自分の痛みよりも、自分を打ったのだめの手の方が痛いのではないだろうかと心配した。
そ
して、のだめを見つめた。
のだめは、真っ赤な顔をしてこちらを睨みつけている。
そ
の目は怒りで燃えていた。
「なんで……」
「………」
「……
なんで……そんなこと」
「………」
「どうして、そういうこと、言うんですか!!」
リュ
カはのだめの瞳だけを見ていた。
あっという間に涙で潤んできたその瞳は、今にも溢れ出しそうで。
「……
ずっと……」
溢れる。
「……ずっと……」
溢
れる。
「……ずっと、のだめを、そんな風に見ていたんですか……?」
今
にも決壊しそうで。
それでもリュカは答えずにはいられなかった。
「……
ああ」
「………!!」
「……ずっと、ずっと……君のことが好きだった。
のだめと初めて出会ったコンセルヴァトワールの時からずっと……。
……13歳の少年の頃からずっと君を」
「や
めてください!!」
のだめは、耳を押さえてうずくまって座り込んだ。
その背中は小刻みに震
えていた。
涙交じりの声が、リュカの心を責めたてる。
「……そんな……」
「………」
「そ
んなこと……聞きたくなかった……!!」
「………」
「ずっと……ずっと……リュカは、のだめの一番の友達だと
思っていたのに……」
「………」
「そう……思ってたのは、のだめだけだって……言うんですか?」
何
も言葉に出来なかった。
のだめの全身が、心そのものがリュカを拒否していた。
その姿はあま
りにも痛々しく。
少しでも肩に手を置いてしまったら、今にも壊れてしまいそうなほどもろく見えた。
し
ばらくの間、部屋の中には、のだめのすすり泣く声だけが響いていた。
やがて、絞り出すような掠れた声でのだめが言った。
「………」
「……
帰ってください」
「………」
「もう……顔も見たくありません」
「………」
「こ
こから出て行って!!。二度とのだめと琴音に会わないで!!」
最後の方は悲痛な叫びだった。
「……
わかった」
リュカは自分でも意外なほど、冷静な口調で言った。
うずくまったまま顔もあげな
い彼女に、背を向ける。
そして、ゆっくりと、ドアの方に歩きながら、一瞬だけ足を止めた。
「の
だめ、ごめんね」
「………」
「……君をこんなに傷つけたことを……申し訳なく思ってる」
「………」
「……
君を」
「………」
「君を……愛してしまって……本当にごめん……」
バ
タン。
ドアが開いて……そして閉じた。
「リュ
カ!!」
部屋を出た瞬間、リュカに、琴音が飛びついてくる。
声が大きくて、尋常でない気配
が伝わったのだろうか。
その目は不安でいっぱいだった。
黒木とターニャも心配そうな目で、見つめている。
「……
大丈夫かい?リュカ……」
「なんだか……顔が、まっさおよ……」
「いや」
リュ
カは無理やりに笑顔を作った。
「僕は心配いらない……。
のだめは、今、ちょっと興奮して
いるから……少しだけそっとしておいてあげて」
「………」
そうして、リュカは琴音の前に
座った。
少しばかり背の伸びた少女の目線の高さに合わせて、しっかりとその瞳を見つめた。
ああ、いつの間にこの
子はこんなに大きくなってしまったんだろう。
ついこの前まで、あんなに小さな赤ちゃんだったのに。
「琴
音……」
「……何?」
「僕、これから仕事で外国に行かなきゃいけないんだ」
「え?」
「とっ
ても……とっても大事な仕事なんだ」
……ちょっと、期間が長いから、もしかしたらしばらく来れないかもしれない……」
「………」
「……
のだめのこと、頼むね」
「………」
「のだめのこと、守ってあげて……力になってあげてね……」
「………」
「僕
からのお願いだ」
「………」
リュカは琴音に向かってにっこりと笑いかけた。
も
う、こんな小細工は通用しない年だろうとはわかってはいたけれど。
そして、リュカは、黒木とターニャの方に振り返った。
「悪
いけど……のだめと琴音のことをしばらく頼む」
「……それはいいけど……リュカ」
貴方……
と言いかけたターニャを黒木が止めた。
「わかったよ」
「………」
「……
こっちは、心配しなくていいよ。どっちにしても、できるだけのことはするつもりだったから」
「……恩に着る……」
そ
うして、リュカはゆっくりと立ち上がった。
黒木達に深く頭を下げて、そのまま部屋を出て行こうとするリュカの背中に、琴音が叫んだ。
「リュ
カ!!」
「………」
「また……また、会えるよね!!」
「………」
「……
ねえ!!」
少女の悲痛な叫びに、リュカは答えることが出来なかった。
鉛
のように重たい気持ちを抱えたまま、リュカは車を駐車場に入れた。
しばらく運転席にうずくまったまま、長い間、顔をあげなかった。
ど
のくらい時が過ぎただろうか。
やがて、何かをふっきるようにして、車のドアを開けて、自宅であるマンションに入る。
エ
レベーターに乗り、自分の部屋の前に着くと、ポケットから鍵を取り出した。
ガチャリ。
冷
たい鍵の音が、静まり返った暗い部屋の中に響いた。
次の瞬間。
パーーーーー
ンッ!!。
ピストルのような音が弾けた。
驚いて
叫び声をあげようとしたら、パッと部屋の照明がつく。
「「リュカ、おめでとうううううーーーーーっ!!」」
そ
こにいた人物に、リュカは目を見張る。
なんと、松田とRuiが、クラッカーを持ってそこに立っていたのだ。
松田
は白いワイシャツ姿で、自分よりも少し年上な筈のRuiは黒いシックなワンピースを着ている。
「な、な、な、な
んでここにいるのーーーーーっ!!2人とも!!」
松
田が、いつものようにニヤニヤと笑いながら、リュカのグラスに赤ワインを注ぐ。
「だからさ、こっちで公演があっ
てRuiと共演することになってさ〜」
「あ、オーケストラ、聞きに来てネ、これ、チケット」
「………」
「ふ
と思い立って、リハーサル後に、2人でリュカに会いに行こうと言ったはいいんだけど、家にも携帯にかけてもお前、出ないからさ〜」
「事
務所の方に、リュカがどこにいるのか電話してみたのヨ」
「………」
「そしたら、エリーゼが、リュカはのだめに会
いに行ったっていうからね。
おっ!!。
こいつはきっと、こっぴどくふられて帰ってくるぞ!!と思った訳なの
よ」
「松田さんが、傷心しているリュカのこと励ましてやろうって」
リュカは呆れてかえっ
て、言葉も出ない。
ご丁寧に、テーブルにはチキンやケーキなどのご馳走や、ワインなどが置かれている。
まるで何
かのパーティのようだ。
「……そもそもなんで、松田さんが、僕の部屋の鍵、持ってるんですか」
「い
や、こないだ俺、ここに泊まったじゃん」
「……あの、夜中に酔いつぶれてうちにやってきて、インターフォン鳴らしまくってドアを叩い
て叩き起こした時のことですか」
「うん、そして次の日、お前、朝早く出るからって鍵、置いてっただろう。
鍵は
事務所に届けてくれって、置手紙して」
「その日から、僕は、大事なドイツへのコンサートツアーだったんですよ……それなのに……本当
にはた迷惑な……」
リュカはあの日のことを思い出した。
早朝、松田を部屋から追い出そうと
して、叩き起こそうとするも、がーがーといびきを立てたこの男はいっこうに起きる気配がなかったのだ。
そして不本意ながらも、鍵を預
けるという事にしたのだが……。
「それで、つい、合鍵、作っちゃったんだよね〜」
「な、な
んでーーーーーっ!!」
リュカは、仰天して叫び声をあげる。
「いや、
なんとなく」
「……なんとなくって……」
「これからパリに来たらいつでも泊まれるし、便利いいじゃん」
「……
僕の部屋は、ホテルじゃありません」
「固いこと言うなよ〜。
こうして、わざわざのだめちゃんにふられて傷つい
てるお前を、元気づけに来てやってるんだから」
「……なんで、僕がふられたって思うんですか?」
「だって、告白
してふられたんだろう、お前」
……… ……… ………
リュ
カは、グラスのワインをぐいっと一気に飲み干した。
こうなったら飲むしかない。
Rui
がつかさずワインを追加した。
「いろいろ記事に出てたじゃない。……心配してたのヨ、これでも」
「ど
うも……」
できれば、そっと遠くから心配して欲しかった。
「まあ〜、
お前もようやく、失恋してけじめがついたことだし、今日は賑やかにやろうじゃないか!!」
「………」
わ
はははははと笑う松田の声が部屋に響き渡っていた。
「……
それでですね……のだめが言うんですよ……」
もうどのくらい飲んだだろうか。
空のワインが
何本か、テーブルにに転がっていた。
リュカは、ろれつの回らない口調で言った。
「もう……
二度と会わないで……って……」
なんで、こんなことを2人に話してしまっているのだろう。
ど
うして世界はこんなにぐるぐると回っているのだろう。
「……それで、おとなしく帰っちゃって、もう二度と会わな
いつもりなの?リュカ」
Ruiがテーブルに頬杖をついて聞いてきた。
「……
だって……それが……のだめの……望みだし……」
「そんなの、男らしくないヨ!!リュカ!!。
本当に好きだっ
たら、強引にでも自分の方を向かせなきゃ!!」
「もう……いいよ……どうでも……」
ど
うでもいい。
のだめのあんな姿を見るくらいだったら。
琴音のあんな泣
き顔を見るくらいだったら。
「まあ、そう言うなよ。Rui」
松
田もワインを片手に言う。
赤い顔から察するに、この男もかなり飲んでいるようだ。
「のだめ
ちゃんも、びっくりして……今は混乱してるんだよ。
そんな時は何を言っても無駄さ」
「そうかな〜」
「あ、
そうだ」
不意に、松田が悪戯っぽい顔をして笑った。
嫌な予感がする。
「例
えばさ……この状態でお前が他の女と付き合ったら、のだめちゃんも少しは考えるんじゃないかな」
「……なんですか、それ。
今までずっと僕が誰と付き合おうとも、のだめはなんの反応も示さなかったですよ」
「いやいやいやいやいやいやいやいやいや。
それはあれだよ」
どれですか。
「それは、今までお前の気持ちに気づい
てなかったからであって、今後はどうなるかはわからないじゃないか」
「今更……」
「押して駄目なら、引いてみ
ろって言う言葉が日本にはあるんだよ」
「何、それ」
Ruiが興味深げに、会話に割って聞い
てくる。
「口説いても口説いてもなびかない女には、攻めるばっかりじゃなくってちょっと距離を置くのも一つの手
だってことだ」
「へ〜」
「お、そうだ!!。Rui、お前、少し協力してやれよ」
「私?」
Rui
がきょとんとしたような顔をする。
何を言いだすんだこの男は、とリュカは思う。
「Rui
だったら世間的にもインパクトあるし、同じ学校だったんだからそんなに不自然でもないだろう」
「そんな……」
馬
鹿なこと……と言いかけた声を、Ruiが止める。
「それ、面白そう!!」
「……へ?」
リュ
カは思わずRuiの顔を見た。
その顔は期待に満ちて輝いている。
「私、やるヨ、その
役!!」
「おお!!いいぞ、Rui。2人で頑張ってリュカの恋を応援してやろうじゃないか!!。
リュカの恋の
前途を祝して、乾杯〜!!」
「乾杯〜!!」
2人は、呆然とするリュカを無視して、ワインの
グラスを鳴らした。
もう……何を考えてるんだろう……こいつら。
そう
思いながらも。
酒が正常な思考判断を奪っていて。
ただ、疲れていてどうでもよくなってい
て。
本当に何もかもがどうでもよくなっていて。
リュ
カは泥のような眠りに落ちていった。
続
く。